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名作住宅に学ぶ 安藤忠雄「住吉の長屋」1976年

No.14 / 49

中庭のある家

大阪市住吉区の古い三軒長屋の真ん中の1軒が、1976年、コンクリートの箱に建て替えられた。窓のない正面の奥には、屋根のない中庭がある。建築家・安藤忠雄の出発点となったこの小さな住宅は、中庭のある家の良さと、その代わりに引き受けるものを、両方はっきり見せてくれる。

住吉の長屋の正面。打放しコンクリートの壁に、入口の開口がひとつだけ開いている
通りに向けた正面。開口は入口ひとつだけで、窓はない。 写真:Oiuysdfg/「Azuma house.JPG」(Wikimedia Commons)/CC BY-SA 3.0

1長屋の真ん中を、ひとつの箱に

大阪府の資料によれば、住吉の長屋は三軒長屋の中央1軒分を鉄筋コンクリートの打放しとして建て替えたもので、間口2間、奥行き8間の細長い箱である。建築面積は33.7平方メートル。敷地いっぱいに2階建てとし、中庭を置いて4つの部屋をつないでいる1。

1979年には日本建築学会賞(作品賞)を受けた。住宅作品としては初めての受賞だった1。

中庭をはさんで部屋が分かれる細長い家のイラスト
中庭をはさんで部屋を分ける考え方。 イラスト:住宅プランナー。住吉の長屋の図面を写したものではない。

2中庭が生活を分ける

建物の中央、およそ3分の1が屋根のない中庭になっている2。玄関を入ると居間があり、台所や2階へ行くには中庭を通らなければならない2。大阪府の資料は、これを「中庭が生活動線を分断するプラン」と書き、雨の日も中庭を通らなければならない不安があることにも触れている1。

それでも、施主はいまもこの家に住み続けている。同じ資料には、施主の「私の人生にはこの住宅が必要不可欠であった」という言葉が記されている1。

夕方の住吉の長屋の正面。入口の奥に明かりが灯っている
夕方の正面。入口の奥に灯りが見える。 写真:neverbutterfly/「La maison de ville à Sumiyoshi, -16 mai 2016 17:08.jpg」(Wikimedia Commons)/CC BY 2.0

3中庭のある家を建てるなら

中庭の良さは、隣家が迫った敷地でも、外からの視線を気にせずに光と風を家の中へ入れられることにある。一方で、部屋と部屋のあいだを屋外が隔てるので、雨や冬の寒さを毎日の動線の中で受けることになる。

いまの家に取り入れるなら、中庭のまわりをガラスで囲った廊下でつなぐ、中庭を家の端に寄せて動線を切らない、といった折り合いのつけ方がある。中庭は外壁の面積が増え、雨水の排水も必要になるので、費用と防水については住宅会社とよく相談したい。

自分の敷地で、間取りを描いてみる

住所と家族の人数を入れると、間取りの叩き台と、建つ見込み、金額の幅が出ます。

間取りの叩き台をつくる

無料。叩き台であり、最終的な可否と金額は住宅会社が決めます。

この家を見に行くには

住吉の長屋は個人の住まいで、内部は公開されていない2。外から眺めるときも、住まう人の暮らしを妨げないようにしたい。2026年7月には、国の登録有形文化財として登録するよう文化審議会から答申が出ている3。

注

  1. 大阪府「登録有形文化財(建造物)住吉の長屋」資料。規模、構成、受賞、現所有者の言葉。https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/26540/01_sumiyoshinagaya_touroku.pdf
  2. 「住吉の長屋」Wikipedia。中庭の位置、動線、公開の有無。https://ja.wikipedia.org/wiki/住吉の長屋
  3. 大阪府 報道発表(2026年7月17日)。国の登録有形文化財への答申。https://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/fumin/o180150/prs_50727.html

2026年10月10日確認

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