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名作住宅に学ぶ

No.40 / 49

滝の上に、居間をかける。

川の流れの上に、クリーム色の床が何枚も重なって張り出している。フランク・ロイド・ライトの「落水荘」は、敷地のいちばん動かせないもの――滝と岩――を、家の真ん中に据えた。

新緑の森の中、岩場の滝の上に張り出すテラスが重なる落水荘を、川面側から見た外観
滝の上に重なるテラス。川の下流から見上げる。 写真:fuzheado/「Fallingwater 20200718 4.jpg」(Wikimedia Commons)/CC BY-SA 2.0

百貨店主の、夏の家

落水荘は、ピッツバーグの百貨店経営者エドガー・J・カウフマンの家族のために、1935年に設計された。米国国立公園局の国定歴史建造物の申請書は、この家を「夏の家」と書いている。1937年に主屋ができ、客用の棟などを含めて1930年代の終わりに完成した。

構造は、地元で採れた砂岩の壁や柱、暖炉の芯と、片持ちの鉄筋コンクリートの床。窓と扉の枠は鋼でできている。

緑に囲まれた落水荘の正面。横に伸びるクリーム色のテラスと石積みの壁が見える
横に伸びるテラスと、石積みの壁。 写真:Ruhrfisch/「Fallingwater front.jpg」(Wikimedia Commons)/CC BY-SA 3.0

岩が、そのまま炉床になる

申請書が引く施主自身の記述によれば、暖炉の塊は大きな岩の上に据えられ、岩の自然な上面が、そのまま居間の炉床になっている。居間の食卓の脇には、滝の下へ降りる階段のついたガラス戸もある。

家具の多くは造り付けで、ライトが家と一緒に設計した。内装の木部は黒クルミの合板、床は屋内も屋外も、地元の砂岩の敷石だ。

張り出したテラスの下から、沢の流れと木々を見上げた落水荘の景色
張り出した床の下から、沢を見る。 写真:Eritak/「Fallingwater under the cantilever.JPG」(Wikimedia Commons)/CC BY-SA 3.0

部屋は、意外なほど少ない

申請書は、この家の部屋を「居間、寝室3つ、サービスの諸室」と書き、それをバルコニーやテラスが四方に広げている、と説明している。床面積を増やす代わりに、外へ張り出した床が居場所を足しているのだ。

自分の家に持ち帰るなら

ひとつは、敷地の「動かせないもの」を先に決めること。木、段差、眺め。小さな敷地でも、それを中心に部屋を並べると、間取りに理由が生まれる。

もうひとつは、部屋を増やすより、テラスやバルコニーを「もう一部屋」として数えること。造り付けの家具も、小さな家では床を節約する手になる。名作の図面をそのまま写して建てることは、著作権の上で問題になる場合がある。借りるのは考え方で、寸法や部屋割りではない。

木々の間から、滝の上に水平のテラスが重なる落水荘を見た外観
木々の間から見た、水平に重なる床。 写真:Carol M. Highsmith/「Fallingwater 2007.jpg」(Wikimedia Commons)/パブリックドメイン

この家を見に行くには

1963年、エドガー・カウフマン・ジュニアが、周辺の森とともに西ペンシルベニア保全協会に託し、1964年から博物館として公開されている。2019年に世界遺産に登録された。約3年の保存工事を経て、2026年3月に足場が外れた。

見学の日程や料金は年によって変わる。訪ねる前に、運営団体の公式サイトで確かめてほしい。

外へ広がる居間の叩き台を描く

住所と家族の人数を入れると、この型で叩き台を描き、建つ見込みと金額の幅を示します。

「大きなLDKの家」で設計する

無料。叩き台であり、最終的な可否と金額は住宅会社が決めます。

参考:米国国立公園局 国定歴史建造物申請書(Fallingwater)、Western Pennsylvania Conservancy「Fallingwater」、ArchDaily(2026年4月6日)、IHBC NewsBlog。

2026年10月10日確認

国・自治体とは関係のない、民間のサービスです。