名作住宅に学ぶ 藤井厚二「聴竹居」1928年
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日本の気候と住まい
京都府大山崎町、天王山の麓に、1928年に建てられた木造平屋の住宅が残っている。設計者の藤井厚二は京都帝国大学で教えた建築家で、日本の気候に合う住宅を、実際に建てて確かめることを自らの課題とした。聴竹居はその5作目の自邸であり、2017年に昭和の住宅として初めて国の重要文化財に指定された1。
15度目の自邸
藤井厚二(1888〜1938)は、大山崎の地に自邸を5度にわたって建て、そのたびに住まいの環境を検証した。一連の住宅の最後にあたる聴竹居で、その試みは一つの完成をみる。同じ1928年には、日本の気候と生活に適した住宅についての考えをまとめた著書『日本の住宅』を岩波書店から刊行している2。
文化庁の解説は、この住宅を「工学的理論に基づいて設計された木造モダニズム住宅の先駆的事例」と位置づけている。伝統的な和風のしつらえと、幾何学的な形態を組み合わせた意匠もさることながら、評価の中心にあるのは、室内の環境を理論によって整えようとした設計の姿勢である3。本屋は木造平屋、面積は173.2平方メートル。敷地内には閑室と茶室も建てられている。
2縁側
本屋の縁側は、細いサッシの方立(ほうだて)が柱を兼ねるように納められ、窓まわりに太い部材がほとんど現れない。両端の角には柱すら立てず、ガラスどうしを突き合わせて納めている。角に立つと、視線は遮られることなく庭へ抜ける4。
縁側は庭を眺める場所であると同時に、室内と屋外のあいだに置かれた、もう一つの空気の層でもある。日射や外気はここでいったん受け止められ、その奥の居室へは和らいで届く。
3地中から引く風
聴竹居の設計で特に知られているのは通風の仕組みである。庭の地中に土管を埋め、そこを通して冷やされた外気を床下から室内へ導く1。居間の一角に設けられた3畳の小上がりには、その導気口が開いている4。暖まった空気は天井裏へと抜け、屋根裏を通じて外へ排出される5。今日でいうクールチューブに相当する仕組みを、藤井は昭和初期の木造住宅で実践していた。
この小上がりの床の高さにも、藤井の考えが表れている。畳に座る人と、椅子に腰掛ける人の目の高さがそろうように床を上げてあるのである1。和室と洋室を別々に設けるのではなく、一つの居間のなかで2つの生活様式を並べようとした工夫といえる。
4いまの敷地で描いてみる
住宅プランナーの自動設計には、この住宅を手本にした「縁側で風を通す平屋」という型がある。平屋として、南に幅の広い縁側を通し、その奥に畳の間を置く。窓は横に連ね、軒を深く出して夏の日射を遮る。下の図は、250平方メートルの敷地と、大人2人・子ども2人の家族を条件として描いた叩き台である。
聴竹居の小上がりは3畳であるが、型では4畳半とした。住宅の寸法の単位である半間(約91センチメートル)の格子に載せると、3畳では奥行きが廊下ほどしか取れなくなるためである。地中の導気管は設備と工事にかかわるものであり、間取りの型には含めていない。取り入れる場合は、住宅会社と相談されたい。また、平屋は同じ床面積を得るのに広い敷地を要する。敷地が足りない場合、自動設計は案を作らず、その理由を示す。
この型で、自分の敷地に描く
住所と家族の人数を入れると、この型で叩き台を描き、建つ見込みと金額の幅を示します。
「縁側で風を通す平屋」で設計する無料。叩き台であり、最終的な可否と金額は住宅会社が決めます。
見学
聴竹居は一般社団法人聴竹居倶楽部によって公開されている。日程と予約は公式サイトで確認できる。縁側の角に立ったときの視界の抜けは、写真や図面ではなかなか伝わらない。
付記
住宅プランナーが借りているのは、縁側で光と風を受け止め、その奥で暮らすという組み立て方のみで、聴竹居の寸法や部屋割りは用いていない。
注
- 「聴竹居(旧藤井厚ニ自邸)」国土交通省 地域観光資源の多言語解説文データベース。大山崎の一連の住宅の第5作、天王山の麓、昭和の住宅として初の重要文化財、土管による導気、小上がりの高さ。https://www.mlit.go.jp/tagengo-db/R5-00184.html
- 「藤井厚二」Wikipedia。生没年、著書『日本の住宅』。https://ja.wikipedia.org/wiki/藤井厚二
- 「聴竹居(旧藤井厚二自邸) 本屋」文化遺産オンライン。構造、面積、指定年月日、指定理由。https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/289793
- 「心の窓 ─《聴竹居》」窓研究所。縁側の方立とガラスの納まり、3畳の小上がりの導気口。https://madoken.jp/series/28874/
- 「人と地域を未来へつなぐ『聴竹居』」竹中工務店。屋根裏を利用した換気。https://www.takenaka.co.jp/enviro/feature/03/
2026年9月27日確認
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