住まいの言い分 Vol.5
No.28 / 49
階段は、家でいちばん場所を食う。
毎日、何度も上り下りするのに、階段は、間取りを描く最後の最後に、残った場所へ押し込まれがちだ。階段は、小さな部屋ひとつぶんの場所を、黙って食っていく。
階段の急さには、法律の上限がある
建築基準法施行令の第23条は、階段の幅、蹴上げ、踏面の寸法を表で定めている。住宅など一般の階段は、幅75センチ以上、蹴上げ22センチ以下、踏面21センチ以上。ただし、住宅の階段(共同住宅の共用階段を除く)は、蹴上げを23センチ以下、踏面を15センチ以上とすることができる。
蹴上げが段の高さ、踏面が足をのせる奥行きだ。この2つの寸法の組み合わせで、階段の傾きが決まる。
許されるぎりぎりは、約57度
寸法から傾きを計算すると、表の原則(22と21)で約46度、住宅のただし書きの上限(23と15)で約57度になる。法律が許す範囲と、楽に上り下りできる傾きは、別の話だ。
手すりについても決まりがある。同じ施行令の第25条は、階段には手すりを設けなければならないと定める。ただし、高さ1メートル以下の階段の部分には適用しない。
どれだけ場所を食うか
階段をつくるには、最低でも1坪(3.31平方メートル)の場所が要る、と書く工務店のコラムがある。別の住宅会社のコラムは、いちばん省スペースの階段でも、2畳ほどの場所が要るとする。どちらも、おおよそ畳2枚ぶんだ。
2階建てでは、階段は1階にも2階にも、同じ場所を必要とする。小さな家ほど、この割合は重い。
箱階段という発明
日本には、階段そのものを収納にしてしまう知恵がある。日本建築・美術用語辞典(JAANUS)は、箱階段を、階段と収納箱を兼ねたもので、江戸時代の早い時期から中ごろにかけて町家に多く、民家や寺にも見られるものと説明している。階段を箱の連なりとして組み、段の下の空いた場所を、戸棚や引き出しに使った。動かせる家具であることも多い。
急な階段と、暮らす人
京都の町家に暮らす人のエッセイは、引き出しや引き戸つきの棚を兼ねた階段を、現代の住宅には向かない傾きだが、慣れると案外のぼりやすい、と書く。
いまの家に、そのまま持ち込めるものではない。けれど、階段の下や横を、収納に使うという考え方は、そのまま使える。
リビング階段の、うれしさと代償
いまの家づくりでは、リビングの中に階段を置く「リビング階段」が人気だ。一級建築士の解説は、デメリットとして、音が聞こえやすいこと、料理のにおいが伝わりやすいことを挙げ、階段の前に引き戸をつけるのが有効だとしている。
熱の問題もある。階段でリビングと2階の空間がひとつながりになるので、吹抜けの間取りと同じように、暖房の効率は大きく落ちる。それでも、断熱等性能等級4にして、樹脂サッシなどの高断熱の窓を使えば、ほとんどの人にとって、それほど寒くはない、という。
家を建てるなら
階段の位置は、間取りの最後ではなく、最初に決めたい。階段をどこに置くかで、廊下の長さも、部屋の形も変わるからだ。家の中心に置くのか、端に寄せるのか。リビングの中か、外か。
住宅プランナーの間取りでは、階段を北側の水まわりと並べる型と、リビングの中に置く型を選べる。同じ広さでも、階段の置き場所が違うと、間取りの印象はまったく別のものになる。
階段の置き場所から、間取りを見てみる
住所と家族の人数を入れると、階段の位置の違う型で、間取りの叩き台と、建つ見込み、金額の幅が出ます。
「デザイナーズ」で設計する無料。叩き台であり、最終的な可否と金額は住宅会社が決めます。
参考:建築基準法施行令 第23条・第25条(e-Gov法令検索)、JAANUS 日本建築・美術用語辞典「箱階段」、リコーイメージング「町家で暮らす日々」、悠悠ホーム・ネクストハウスの工務店コラム、ダイヤモンド不動産研究所の解説記事。
2026年10月10日確認
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