住まいの言い分 Vol.2
No.25 / 49
犬を迎える場所を、先に決める。
散歩から帰ってきた犬の足は、汚れている。さて、どこで迎えて、どこで洗って、どこから家に上げるか。家づくりの打ち合わせでは、これが意外と決まらないまま進んでしまう。
犬は、約682万頭
ペットフード協会の全国犬猫飼育実態調査では、長く減っていた犬の飼育頭数が下げ止まり、2025年の調査で約682.0万頭と推計されている。家づくりをする人のなかに、犬と暮らす人は、もう珍しくない。
床は、犬にとって滑る
日本建築学会の論文集に載った研究は、小型犬が快適に動くために必要な床のすべり抵抗を調べたもので、冒頭で、住宅の床は人の安全性や快適性を中心に選ばれてきたため、掃除のしやすさや傷への強さを重視して表面が硬くて滑りやすい床も多く、ペットにとって安全とは言い難いものも少なくない、と指摘している。
12頭の犬を6種類の床で観察した結果、滑りにくさの低い床では、犬は滑らないように動きをゆっくりにした。
関西学院大学の発表(2025年)は、滑りやすい床では、転倒や姿勢の崩れを防ぐために余分な筋肉の動きが必要になり、関節への負担や転倒の危険が増える可能性があると述べている。この研究は企業・動物病院との共同で、調べた犬は健康な4頭と少ないので、「可能性」の段階の話である。
玄関から、順に決める
環境省のガイドラインは、飼っている犬や猫が、ドアや門のすきまから逃げ出さないように、戸締まりにも気をつけようと呼びかけている。家庭動物等の飼養保管に関する基準も、飼養施設を逸走の防止に配慮した構造にすること、逸走した場合は自らの責任で速やかに捜すことを、飼い主に求めている。
住宅会社のコラムは、玄関から土間を通り、足洗い場を経てリビングへ入る動線を例に挙げ、玄関とリビングのあいだにドアやゲートを1枚設けるだけで、来客のときの脱走を減らせると書いている。これは公的な基準ではなく、事業者の提案だが、玄関の使い方としては理にかなっている。
におい対策は、換気から
環境省のガイドラインは、においが近所に伝わらないよう、トイレの置き場所に気を配ることを勧めている。消臭剤や殺虫剤のスプレーは下にたまるので、換気をよくするようにとも書かれている。
住宅会社のコラムも、いちばん効果のある対策は換気だとしている。24時間換気を基本に、トイレのまわりに別の換気扇を置くといった工夫は、設計の段階で決めておきたい。
家を建てるなら
犬のための設備は、あとから足すと、たいてい形が悪くなる。足洗い場の置き場所、ゲートの位置、滑りにくい床。玄関からリビングまでの道筋を、最初に1本決めておくと、あとの間取りが落ち着く。
玄関から、間取りを考える
住所と家族の人数を入れると、玄関を土間にした型でも叩き台を描き、建つ見込みと金額の幅を示します。
「小さな総二階と吹抜け」で設計する無料。叩き台であり、最終的な可否と金額は住宅会社が決めます。
参考:ペットフード協会 全国犬猫飼育実態調査、横山裕ほか「小型犬の動作に必要な床のすべり抵抗の提示」(日本建築学会構造系論文集 第78巻第690号、2013年)、関西学院大学 報道資料(2025年12月)、環境省「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」、同「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」、クレックス「ペットと暮らす家の間取りのコツ」。
2026年10月10日確認
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