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住まいの言い分 Vol.1

No.24 / 49

本は、思ったより重い。

本好きの家は、本から先に増える。気づけば壁一面が本棚になって、ふと、床のことが心配になる。この床は、本をどこまで受けとめてくれるのだろう。

琥珀色の灯りに照らされた、本棚のある小さな部屋。
光の差す、本棚の一角。 写真:calowaii/Unsplash/Unsplash License
壁一面の本棚を下から見上げた写真。技術書がぎっしりと並んでいる
壁に沿って立ち上がる本棚。棚板のたわみは、見た目ではわからない。 写真:Alexandre Dulaunoy/「Bookshelf at home (556126063).jpg」(Wikimedia Commons)/CC BY-SA 2.0

床は、何キロまで考えてあるか

建築基準法施行令の第85条は、建物の各部の積載荷重を「実況に応じて計算しなければならない」と定めている。ただし、住宅の居室のように決まった使い方の部屋には、計算を簡単にするための数字が表で用意されている。

住宅の居室の数字は、床の構造計算で1平方メートルあたり1,800ニュートン、大梁や柱、基礎の計算で1,300ニュートン、地震力の計算で600ニュートン。1,800ニュートンは、重さにするとおよそ180キログラムにあたる。

人が歩く、家具を置く。そのくらいの重さは見込んである。ただし、本がぎっしり詰まった部屋まで見込んだ数字ではない。

木の棚に、画集や古い本が横積みや縦並びでぎっしり置かれた本棚
縦に並べ、横に積み、上にも載せる。本棚の中は、増えるほうへ使われていく。 写真:w_lemay/「Bookshelf, Living Room, Paul Schweiker House and Studio, Meacham Road, Schaumburg, IL.jpg」(Wikimedia Commons)/CC BY-SA 2.0

書庫になると、数字が変わる

国土交通省の官庁施設の資料には、使い方ごとの床荷重が載っている。人が常時使う部屋が1,800ニュートンなのに対して、一般書庫は7,800ニュートン、可動書架を置く書庫は11,800ニュートン。住宅の居室の、4倍以上から6倍以上になる。

これは官庁施設のための基準で、住宅の法律ではない。筑波大学附属図書館長の資料にも、図書館の床の積載荷重に決まった規定はなく、開架の書架スペースは1平方メートルあたり500〜800キログラム、集密書庫は1,200キログラムほどを見込むとある。

床の積載荷重の比べ。住宅の居室、一般書庫、可動書架の書庫の3つの箱が、数字に比例した高さで並ぶ
床の積載荷重(ニュートン毎平方メートル)の比べ。 イラスト:住宅プランナー。数字は国土交通省の官庁施設の資料による。
観葉植物のある窓と、壁一面の暗い本棚。
暗い壁の本棚と、窓辺の植物。 写真:kellysikkema/Unsplash/Unsplash License

10畳の壁を、本で埋めたら

一級建築士のコラムによれば、10畳の部屋の壁全面に本棚を作って、本をいっぱいに詰めると、総重量は1トンを超える。

しかも木造は、鉄筋コンクリートや鉄に比べてたわみやすい。本棚を置く位置によっては、梁や床が大きくたわむことがある。木造の家で重い本棚を自由に置きたいなら、柱を増やす、梁を大きくする、といった手当てが要る。

19世紀の書斎を写した古い写真。壁際の書棚、肘掛け椅子、机、額に入った絵が見える
19世紀の米国の書斎。壁に書棚を据え、椅子をそのそばに置く。台紙には「ベンジャミン・ハリソン将軍の書斎」とある。 写真:Harrie Rose/「General Harrison's library, southwest corner - DPLA - b7c81b17f9df4739643ea4af42c2cd6b.jpg」(Wikimedia Commons)/パブリックドメイン
スコットランドの歴史的な邸宅の書斎。壁一面と2階の回廊まで、書棚が天井近くまで続いている
書斎の壁一面が書棚になった、スコットランドの邸宅(アボッツフォード・ハウス)。2階の回廊にも書棚が続く。 写真:Michael D Beckwith/「Abbotsford House Study Room.jpg」(Wikimedia Commons)/CC0
吹き抜けに面した壁一面の本棚と、白いソファのあるリビング。
吹き抜けに面した、壁一面の本棚。 写真:Pickawood/Unsplash/Unsplash License

家を建てるなら、先に言う

本の重さは、家を建ててからでは直しにくい。いちばん確実なのは、設計の段階で、住宅会社にはっきり伝えることだ。コラムの建築士は、「これくらいの重さのある本棚を複数置きたいので、床がもつかどうか計算してほしい」と具体的に頼むことを勧めている。

伝えるときは、本棚をどの部屋の、どの壁に置くか、図面に書き込んでおくと話が早い。本の量は、棚の長さで伝えるとわかりやすい。

住宅プランナーの判定は、床の積載荷重までは見ていない。書斎や本棚の置き場所を考えるときは、間取りの叩き台で部屋の位置と広さを決めたうえで、床の強さは住宅会社と設計者に確かめてほしい。

書斎のある家の叩き台を描く

住所と家族の人数を入れると、間取りの叩き台と、建つ見込み、金額の幅が出ます。

間取りの叩き台をつくる

無料。叩き台であり、最終的な可否と金額は住宅会社が決めます。

参考:建築基準法施行令 第85条(e-Gov法令検索)、国土交通省「官庁施設の総合耐震・対津波計画基準」関連資料(床荷重凡例)、植松貞夫「図書館建築と設備」(筑波大学附属図書館、2009年)、浅井知彦「書庫のある家。本の重さ、家は大丈夫?」(レヴォントリ株式会社一級建築士事務所、2022年)。

2026年10月10日確認

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