住まいの言い分 Vol.1
No.24 / 49
本は、思ったより重い。
本好きの家は、本から先に増える。気づけば壁一面が本棚になって、ふと、床のことが心配になる。この床は、本をどこまで受けとめてくれるのだろう。
床は、何キロまで考えてあるか
建築基準法施行令の第85条は、建物の各部の積載荷重を「実況に応じて計算しなければならない」と定めている。ただし、住宅の居室のように決まった使い方の部屋には、計算を簡単にするための数字が表で用意されている。
住宅の居室の数字は、床の構造計算で1平方メートルあたり1,800ニュートン、大梁や柱、基礎の計算で1,300ニュートン、地震力の計算で600ニュートン。1,800ニュートンは、重さにするとおよそ180キログラムにあたる。
人が歩く、家具を置く。そのくらいの重さは見込んである。ただし、本がぎっしり詰まった部屋まで見込んだ数字ではない。
書庫になると、数字が変わる
国土交通省の官庁施設の資料には、使い方ごとの床荷重が載っている。人が常時使う部屋が1,800ニュートンなのに対して、一般書庫は7,800ニュートン、可動書架を置く書庫は11,800ニュートン。住宅の居室の、4倍以上から6倍以上になる。
これは官庁施設のための基準で、住宅の法律ではない。筑波大学附属図書館長の資料にも、図書館の床の積載荷重に決まった規定はなく、開架の書架スペースは1平方メートルあたり500〜800キログラム、集密書庫は1,200キログラムほどを見込むとある。
10畳の壁を、本で埋めたら
一級建築士のコラムによれば、10畳の部屋の壁全面に本棚を作って、本をいっぱいに詰めると、総重量は1トンを超える。
しかも木造は、鉄筋コンクリートや鉄に比べてたわみやすい。本棚を置く位置によっては、梁や床が大きくたわむことがある。木造の家で重い本棚を自由に置きたいなら、柱を増やす、梁を大きくする、といった手当てが要る。
家を建てるなら、先に言う
本の重さは、家を建ててからでは直しにくい。いちばん確実なのは、設計の段階で、住宅会社にはっきり伝えることだ。コラムの建築士は、「これくらいの重さのある本棚を複数置きたいので、床がもつかどうか計算してほしい」と具体的に頼むことを勧めている。
伝えるときは、本棚をどの部屋の、どの壁に置くか、図面に書き込んでおくと話が早い。本の量は、棚の長さで伝えるとわかりやすい。
住宅プランナーの判定は、床の積載荷重までは見ていない。書斎や本棚の置き場所を考えるときは、間取りの叩き台で部屋の位置と広さを決めたうえで、床の強さは住宅会社と設計者に確かめてほしい。
書斎のある家の叩き台を描く
住所と家族の人数を入れると、間取りの叩き台と、建つ見込み、金額の幅が出ます。
間取りの叩き台をつくる無料。叩き台であり、最終的な可否と金額は住宅会社が決めます。
参考:建築基準法施行令 第85条(e-Gov法令検索)、国土交通省「官庁施設の総合耐震・対津波計画基準」関連資料(床荷重凡例)、植松貞夫「図書館建築と設備」(筑波大学附属図書館、2009年)、浅井知彦「書庫のある家。本の重さ、家は大丈夫?」(レヴォントリ株式会社一級建築士事務所、2022年)。
2026年10月10日確認
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